2002年08月21日
恐ろしげな価格だったMacintosh Plusを購入してからというもの、毎日毎夜コンピュータの中を探検しては新鮮な驚きに驚喜し、朝になると寝ぼけ眼で出社する毎日が続きました。
こうなると離れられないんです。ほとんどMacホリックと言った状態で、師匠からいただいたシェアウェアをインストールしながら、今から思えばチープな世界に浸っていました。
Macintoshにはいろんな意味で優れたシェアウェアが存在し、ワープロに匹敵するようなエディターやらグラフィックソフトが海外にはゴロゴロあったようです。マニュアルのない（あってもすべてが英語のマニュアル）世界で直感的に操作できるMacならではの快適さドップリはまって、眼の回りに隈が出来ていたことにも気づきませんでした。
 
たった9inのモノクロの画面にうごめく驚異の世界。
タイプライターを思い起こさせるような重さを持ったキーボードと四角い箱形のマウスによって国産のDOSマシンにはない感性で扱えるオモチャを堪能していました。Video画面をコンピュータに取り込んだのもこの頃。八戸ファームウェアという会社のキャプチャーユニットをモデムポートに接続して静止したVideoの画面を取り込んでからSuperpaintで加工する。今はPhotoShopと言う化け物のようなソフトウェアがありますが、その頃はMacPaintかSuperPaintぐらいでした。
このSuperPaintというソフトも日本語化されてそこそこの価格で販売されていたのです。貧乏性なわたしは「英語版でもエエわ。」ってことで雑誌に掲載してある合衆国のアドレスにたどたどしい英文でFAXを送って購入したことがありました。
どのくらい待ったのか覚えてはいませんが、ある日「Overseas」と書いた小包が届きました。そそくさと開封すると中には日本語版にはない新しいバージョンのSuperPaintが入っていたのです。それに同封されていた送付状にはこう書いてありました。
「SuperPaintを購入していただきありがとうございます。しかしあなたが注文されたのは1.0で、今は最新の2.0が出ています。ご注文の1.0と最新の2.0をお送りしますのでお使い下さい。」と書かれた英文の案内状が入っていたのを今も懐かしく覚えています。
 
この頃はまだプリンターを持っていなくて、画面の中で楽しんでいただけでした。国産にもカラープリンターは存在したのですが、Macに接続できるものはほとんど無く、ほとんどが漢字ROMを搭載した文字打ち専用のプリンターだったのです。
Apple Macintoshはビットマッププリンターと言って画面をグラフィックとして打ち出していました。最高級のプリンターとして君臨していたのはNTX。これはPostScriptというインタープリターが搭載されていて網点によるグラデーション表現が出来る超優れもののプリンターでした。但し価格は100万円以上。
一般の白黒プリンターが10万円から40万円ぐらいした時代に100万円はやはり飛び抜けて高価でした。貧乏サラリーマンには到底購入できる価格ではなかった。
唯一可能性のあるのはAppleが発売していた「ImageWriter II」というインパクトプリンターだけでした。これがMacintoshユーザーにはスタンダードでしたね。
「やかましい・遅い・印字が汚い」と三拍子揃ったカラープリンターでした。たった144dpiしかないプリンターからいかに綺麗な画像を打ち出すかがこれを買った日から目標となりました。
 
この後、何台もプリンターを購入しましたが、最初に買ったImageWriter IIだけは未だに捨てることが出来ずに机の足元に昔の面影を留めたまま惰眠を貪っています。
 
この時に持っていたMacintosh Plusには2.5MBのRAMが搭載されていて、同時に買ったHDは20MB。今ではMOよりも少ない容量です。しかし価格は20万円。「Jasmin」というクローバーのようなマークの付いた米国製のHDです。5inの巨大なドライブが金属製の筐体に押し込められて、ガタガタと共振音を出しながら今のCD-ROMよりずっと遅い速度で読み書きをしていた時代でした。
これでさえフロッピードライブよりはえらく快適で、10年は使えるんじゃないかと思えるほど広い空間だったのです。
たった20MBで・・・・・
続く・・・・・・・・